君色の空
今までだって、生きてて良かったなんて思ったこと。

ただの一度も、ないんだから。

この先に、明るい未来を思い描くことが、私にはできなくて。

だから。

自分の言葉を、引っ込めることができなかった。

「もう。いいよ…」

これ以上、話したくない。

「何がもういいのよ…」

涙目の早苗が、私を見つめている。

早苗のそんな顔は、見ていられない。

「早苗とは、話したくない」

短く、返答した。






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