光が見えるまで
確かに綺麗な花も見てみたい。
花だけでなく今まで見れなかったものを全て見たい。
でも手術が怖い気持ちは何年経っても変わらない。
『はぁ…』
本日何回目かもわからないため息。
同じことを考えても仕方ない。何か別のことを考えよう!
そう思うともう一度今日の出来事を振り返ってみた。
『…中庭の光が優しくて暖かったなぁ…』
あの光は本当に気持ち良かった。
きっと明日になっても覚えているだろう。
そういえば雅輝と何話したっけ…
………あっ!!
―俺は彩華の目で直接俺を見て欲しいんだ―
…思い出してしまった…
雅輝は深い意味を込めて言ったわけではないとはわかっている。
頭ではわかっているのに私の心臓は音を大きくして過剰な程に動き、顔はお風呂上がりのように熱くなる。
『…雅輝があんなこと言うから!』
もう考えるのは止めよう。
考えれば考える程悩み事が多くなっていってしまう。
そうしていつもより少しだけ早い眠りについた。