光が見えるまで
第一章
探し物
ザァー…
朝、雨の音で目が覚める。
『…またこの夢かぁ…』
もう何度この夢を見続けたかわからない。
小さい頃から時々この夢を見る。
いつもと何も変わりない夢。
暗闇で霧がかかっていて三日月が見えて…
そして"何か"を探す夢。
この夢を見なくなる日なんて来るのだろうか。
そんな答えの出るはずのないことを考えるのにも慣れてしまった。
ここは県立中央病院。
私は数年前からずっとこの病院に入院している。
理由は簡単。
私のいる世界は…
―色の無い世界だから―
つまり目が見えないってこと。
ついでに言うと歩くことも出来ない。
私は数年前交通事故で自分の足で歩くことも、見ることも出来なくなった。
事故のことは詳しく覚えていない。
その頃はまだ小さかったし一瞬の出来事だったから…
こんな理由で私はリハビリのためずっと入院している。
目は手術をすれば治るかもしれない。
でも手術が失敗した場合のことを考えると手術を受ける気になれない。
それに加えてこの手術は決して成功率が高い手術ではないため、なかなか勇気が出ないのだ。
この話をすると『ゴメン…』って言ってくる人もいるけど私は謝って欲しくなんてない。
だってこれが私の人生で私の生き方で、私の
―運命なのだから―