光が見えるまで
そんなコトを考えていると、雨の音に紛れて誰かがドアをノックする音が聞こえた。
『…どうぞ』
起きたばかりの私は無意識に低い声で返事していた。
『よっ!今日はまたずいぶん不機嫌な顔してんだな(笑)そんなんだったらいつまでたっても彼氏でねぇよ?』
いじわるそうな声をしながら入って来たのは川崎雅輝。
私と同い年で最近病院で知り合って話をしているうちに仲良くなった友達だ。
お母さんのお見舞いに病院に来ると必ず私の部屋に寄ってくれる。
『うるさい!ただでさえ低血圧で起きたばかりなのにそんなテンションで来るほうが悪いの!』
そう、私はかなりの低血圧。だから朝はかなり機嫌が悪い。
『はいはい、俺が悪かったって(笑)そういえば今日は雨だけど明日は晴れるみたいだぜ!久しぶりに散歩にでも行かね?茶歩も最近ずっと外に出てなかっただろ?』
自己紹介が遅れたけど、私の名前は夜来茶歩。ちなみに16歳。趣味は…音楽聴くことくらいかな
雅輝に言われて気づいたが、確かに最近外に出ていなかった気がする。
梅雨だからと言われれば仕方ないのだが。
『そう言われればそうかも。久しぶりに新鮮な空気が吸いたいな。ここ薬品の匂いばっかりだし。』
雅輝が軽く笑った気配がすると、
『じゃあ決定!明日また迎えに来るから忘れんじゃねぇぞ!』
笑いながらそう言う雅輝に私は言い返した。