光が見えるまで
久しぶりの散歩を茶歩は楽しんでいた。
例え目が見えなくても暖かい空気が周りに満ちているのがわかる。
風が気持ちいいし、どこからか微かに花の香りがする。
そして後ろには車椅子を押してくれている雅輝がいる。
そう思うだけで自然と笑顔になっていた。
『ねぇ雅輝!この前看護婦さんから聞いたんだけど、病院の中庭に綺麗な花がたくさん咲いてる場所があるんだって!そこに行ってみない!?』
『そんなとこあるんだ?じゃあ今から行ってみようぜ!』
『やった!ずっと行きたかったの!雅輝!早く行こ!』
『そんな急いだって花は逃げねぇよ(笑)』
『だって早く行きたいんだもん!』
そんな茶歩のはしゃいだ様子を雅輝が嬉しそうに見ていたことを茶歩は知らない。