15才でママになった理由(わけ)
母さんのお店が忙しい事が理解出来るようになると、一人ぼっちも我慢出来た。


今は琢磨がいるから、一人ぼっちじゃない。


琢磨が泣き出した。


「秋虫、食材冷蔵庫に入れといて。」


「秋虫って、なんだよ。」


「秋人虫じゃ長いから、秋虫にした。」


「奈都いい加減にしろよ。」


楽しくなってきたぞ。


「秋虫、可愛いと思うけど。」


そんな顔をしないでよ。


「誰が思うかそんなこと!」


琢磨、いいこにしてたかな。


ただいま、琢磨。


「琢磨、秋虫にいにだよ。」


秋虫が顔を真っ赤にした。


「奈都止めろ、本当に秋虫って思ったらどうすんだよ。」


楽しくて良いと思うけど。


「いいじゃん、いいじゃん。」


笑える。


「奈都、わざとやってるだろ。」


「だって、」


「煩いだまれ!」


今の何?


琢磨を抱いたままの私に秋虫がキスをした。


嘘、あり得ない。


《ファーストキスなのに。》


ファーストキスが秋虫だなんて、涙が溢れた。


その涙が琢磨の頬を伝う。


琢磨が泣き止んだ。


「奈都?」


「秋虫のバカー! 」


「だって奈都が悪いんだろ。」


「初めてだったのに、なんでファーストキスが秋虫なのよ!」


そんなに驚いた顔をしないでよ。


本当に信じられない。


「キス初めてなのか。真兄ともしてない訳?」


やっぱ、秋虫は遊び人だ。


「まだ真人さんと付き合ってないし、私が中学卒業するまで待ってくれるって言ったの。」


最低。


秋虫なんて大嫌いだ。


私のファーストキスを返せ。










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