15才でママになった理由(わけ)
覚悟を決めて奈都に聞いたが、まともに奈都の顔が見れない。

「日記を真人兄に見せてもいいか。」


奈都はこくんと頷いた。


「この日記はお姉ちゃんが結婚する時預かったの。《私に何があった時この日記を読んでほしい。》この日記をこんなに早く見る事になるなんて、思わなかった。」


奈都の目には涙がたまっている。


奈都、大丈夫か。


「手が震えて来た。秋人はもう読んだのか。」


少し前に奈都に借りた。


「読んだ。」


真人兄が日記を手に取り、読み始めた。



暫く無言の状態が続き、真人兄の顔色が変わった。


「くそ、なんなんだあの女。琢哉さん完全に騙されてる。」


真人兄がここまで怒るとは。


真人兄は常に冷静な人なのに。



「日記を見れば琢哉さんが真実を知る事になるけど、阿紀さんを自殺まで追い込んだなんて。阿記さんは琢哉さんに、この事は知られたくないと書いてあるから、真人兄の意見聞かせてほしい。」



真人兄が重い口を開くと、かなり慎重にゆっくりと話し出した。



「阿紀さんの意思を継いで、この日記は見せない方がいいと思う。この日記はどうにもならない時の最後の手段だな。」




俺もそう思う。




阿紀さんの気持ちを大切にしたい。



奈都を思うと胸が張り裂けそうだが、今は耐えるしかないのだ。



奈都は俺たち兄弟が守るから安心しろ。



絶対上手く行く、嫌、絶対上手くやってみせるぜ。



南の野郎を凝らしめてやる。

















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