15才でママになった理由(わけ)
姉は知らないと思うけど、琢哉さんは私の初恋の人。


母の忘れ物をお店に届けに行った時、琢哉さんが私を姉と間違えた。


「阿紀ちゃんは今日は素っぴんなんだ。素っぴんも可愛いなぁ。」

お酒を飲んでいた琢哉さんが、そう言って私の頭をなぜた。

男の人に初めて髪を触られドキッとしたのだ。


その時は琢哉さんを好きになるなんて思いもしなかったけど。

姉から琢哉さんの話を聞いていたし、ドキドキする気持ちがまさか恋だとは気づけなかった。


10才も年上でかなり大人の琢哉さん。


お姉ちゃんが好きになるのも無理ないと思う。


背が高くてイケメンで、大学出て大手企業で働いているから、かなりモテるはずだ。


「阿紀と間違えちゃって、奈都ちゃんごめんね。髪の長さが一緒だから、下ろしていると一瞬間違えそうになるよ。」

お姉ちゃんに似てない。


お姉ちゃんに間違えたって事は、お姉ちゃんが好きって事でしょ。


胸がズキズキ痛んだ。


琢哉さんが好きなのは、お姉ちゃん。


そんな事分かってるけど。


分かっていても辛い。















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