first love
「きゃっ…!」
「うわっ!」
百合亜と男の子が叫ぶのが同時だった。


男の子はしばらく目をぱちくりさせていたが、笑顔になり百合亜を指差した。


「こないだぶつかった子。」
「え…?」


よく思い返してみると、確かにだいぶ前にぶつかったあの男の子だった。


「あ…あのときの…!」
百合亜が呟くと男の子は満足そうに微笑んだ。


「覚えててくれたんだ。俺、金谷 隼人(かねたに はやと)。よろしくね。」

「日高 百合亜です。」


二人はそう言って微笑んだ。
このとき胸が熱くなった気がしたが、その感情の意味に百合亜が気付くはずもなかった―――…。
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