first love
思わず振り返ると、そこには隼人が立っていた。


「おはよう。今日は早いね。」

百合亜を見つけるとニッコリ笑って隼人が近付いて来た。


「おはよう。ちょっと用事があって。」



いつもと同じはずの会話でも、先ほどの拓斗の言葉のせいで、ぎこちなくなってしまう。




隼人は百合亜の前に立って、机にもたれた。

そんな普通のことでさえ、百合亜には不自然に思えるのだった。



(顔がすごく熱い…心臓が早くて…。これが好きってことなの?)


百合亜はまともに隼人の目を見ることができなかった。







この日初めて百合亜はこの感情の意味を知ったのだった。

これが百合亜の初恋だった―――……。
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