first love
家に着くと、まだ母親は帰って来ていなかった。


百合亜が通っている高校は私立なうえ、今までの病気にかかった借金もあるため両親共働きなのだ。



真っ暗な部屋に電気を付けて、隼人は百合亜をベッドに寝かせた。


「はい、体温計。冷蔵庫の氷借りるね。」

「うん…ごめんね。」


極度の感情の揺れに体の弱い百合亜はいつの間にか本当に熱が出てしまっていたらしい。


「気にしないで。風邪なんだからゆっくりしなよ。」


そう言うと隼人は氷をビニール袋に入詰め、濡らしてきたタオルで百合亜の額の汗を拭った。


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