first love
彼女の目は期待に輝いていた。
自分の席に座ると、隣にはもう誰かが座っていた。


「俺、菅浦 拓斗(すがうら たくと)ってゆーんだ。よろしくな。」
気さくそうな男の子が話しかけてきた。


彼女は男の子と話すのも初めてだった。

「よろしくね。日高 百合亜っていいます。」



彼女はその穢れを知らない純真な瞳で微笑みかけた。


その微笑みは、本当に見るものの心を掴むようだった。
自分の考えたこともない世界を知らされたときの感覚―――・・・・。




普通に現代社会を生きてきた今の15歳はあまりに穢れすぎているのだ。
その微笑を見た瞬間、拓斗は自分には全く持ちえていないものを彼女が持っていることを感じた。




汚れていることを「穢れ」だと気付かず平気でただただ消費していくだけの毎日・・・・。
彼女はまるでその正反対にいるようだった。




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