first love
出会い
百合亜はそんな拓斗の気持ちなど全く気付かなかった。
彼女は人を好きになるという感覚、独占欲、欲望・・・全てを知らなかった。






百合亜はいつも1人で家に帰る。
別に友達がいないわけではない。
昔からずっと1人でいたためか、彼女には1人になる時間が欲しいときがよくあるようだった。


桜の花を見ながら彼女は歩いていた。
すると、突然激しい衝撃に襲われた。



ドンッ!!


「いた・・・っ」
弱々しい彼女の体はよろけて転んでしまった。
「大丈夫!?」
どうやらぶつかってきた相手らしい男が百合亜に手を差し伸べた。



「あ・・・はい。」
男の手を借りてゆっくりと立ち上がった。
男と手を繋ぐのは、このときが初めてだった―――・・・。





(ゴツゴツしてて大きな手・・・・。)
彼女はその男の見て驚いた。
その男は百合亜と同じ高校の制服を着ていたのである。






これが全ての始まりだった。
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