初夏の香り、君の気配
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…─ガタンッ
急に線路が曲がり、私はハッと目を覚ました。
──今のは、夢?
あの男の子は、誰?
悠ねぇが居たことから、場所は今私が向かっている所にちがいない。
でも、
どんなに思い出そうとしても、夢の中でははっきりと見えたはずの彼の顔はどうしても思い出せなかった。
車内に終点を知らせるアナウンスが流れる。
トランクを引きながら、通路に出た。
乗客はやはり、私だけだった。