名前モモ、口癖ドブス、職業あたしの恋猫。
静かに微笑んでささやくあたしを子猫が目を細めて見上げる。


「君の帰る家は、一つだけだよ」


それからあたしは子猫が不安にならないようにずっと頭や背中をなでながら、ねこじゃらしを一本持った岡田ととめていた自転車に向かった。


「あ、子猫抱っこしてたら自転車こげないや。どうしよう……」


「俺に任せな!」


立ち止まって困るあたしに岡田が言ってくれる。


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