FiFTEEN
「なんてことないさ!」



やっぱり無理してる。






朝のミーティングなんて別に必要ないのに…
渋谷はなにかと忙しいふりをするのが好きだな。


部室のドアを開けるとまだみんな来ていないみたいだった。


「あっれ~!?みんないないね。一番乗りだ!」



「…あのさ、家今一人なの?」

「ううん。ほら、この間会ったおばさんいたでしょ?あのおばさんの娘さん、ユキねぇって言うんだけど、一緒に住んでくれることんなった!」

「…よかったじゃん。」

「うん。よかった。…一つ言っていい?笑わないでよ。」

「うん。」

「最初アタシに会ったとき、この歯みたでしょ!?」



歯がないところを指さした。

気付いてたのか…


「…ごめん。」

「いいの。…これね、お父さんが殴ったとき折れた場所なんだ…。すごい力でしょ?」


そんなこと知らないでオレは笑ってた。
他のやつもきっと。

津賀はどんな思いですごしてきたんだろう…。


「今は全然気にしてないけどね!この際だから言っておこうと思って!…瀬名きゅんには迷惑かけたし。」



そのとき見せた、せつない顔がオレの口を開かせた。

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