色つきリップ〜紅い唇〜
 


「お前なんかめちゃめちゃにしてやりてえよ。笑えなくなるくらいにさ」


そう言いながら、大野はわたしを廊下の壁に追い詰めていく。


大野の声は低く低く、わたしの胸の中に沈んで行く。


じりじりと寄る大野に、わたしは震えながら後ずさる。


わたしの背中が壁にあたった時、大野はわたしの顔の横に自分の両手を壁につけた。


大野の怒ったような真剣な顔が、わたしの目の前に近付いて来た。


「大野……やめて、怖いよ……」


「お前が自分でココに来たんだろ?」




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