色つきリップ〜紅い唇〜
 


大野の左手の親指が、わたしの唇に触れた。


何か言おうと、わたしの唇が微かに開いた時、大野の親指がわたしの唇を乱暴になぞる。


「言い訳なんか、聞きたくねえんだよ」


乱暴に動く大野の指に、わたしは唇を震わせながら立ちすくむ。


「オレは……」


大野の指でいろんな形に変えられていく、柔らかい唇から大野は目を逸らさない。


「息も出来ないくらい、塞いでやりたいよ」


そう言ってゆっくりとわたしの唇から視線を移して、大野はわたしを真っ直ぐ見つめた。


「唇だけじゃねえ。お前の体全部にキスしてぇよ」





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