色つきリップ〜紅い唇〜
「……大野キャプテン、今日はやけに張り切ってますね……」
後輩マネージャーの桃ちゃんがわたしの隣で含んだように言った。
「そお?」
あさっての方向を見て、とぼけるわたし。
「大野キャプテン、絶対何かいいことがあったんですよ」
「ふうん?」
部活のダッシュ練習を有り得ないくらい張り切って続ける大野。
体中に汗をかきながら『あと10回!』なんて言う大野をまともに見れないわたし。
「あ、また……」
「ん?」
呟いた桃ちゃんに、わたしは顔を上げた。
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