色つきリップ〜紅い唇〜
「別に?」
しれっとした調子で大野は答える。
「そんなに目立つか?さっきから部員にもよく聞かれんだよな」
「ハイもう、めちゃめちゃ目立ちます」
「ふーん」
そう言いつつ、まんざらでもない調子で大野は言う。
「ま、これはオレの勲章みたいなものだ」
「勲章?」
ニヤニヤして聞き返す桃ちゃんに、
「おう。なかなかいいだろ、これ」
大野はTシャツの胸を張って自慢げに答えている。
「……ただの汚れじゃん?」
恥ずかしくてたまらなくて、また可愛くないことを言ってしまう、わたしの唇。
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