色つきリップ〜紅い唇〜
「何言ってんだよ美咲。『汚れ』なんかじゃねえよ」
大野がわたしに振り向きながら言った。
顔もまともに見れないわたしは大野にそっけなく言葉をかける。
「……早く洗いなよ?」
「バカ!もったいなくてそんなこと出来るか!」
どうしよう
桃ちゃんが見ているのに
赤くなる顔が止まらない
「大野の……ヘンタイ」
「うっせ」
次のチームの3on3の練習が終わり、大野は立ち上がりコートに向かった。
「美咲先輩、愛されてますね」
桃ちゃんが笑ってそう言って、そして少し淋しそうにポツリと言った。
「もう今週の日曜日は引退試合なんですね……淋しいな……」
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