色つきリップ〜紅い唇〜
「とりあえず、洗ってこよ」
唇の紅い色がやけに目立つような気持ちがして、わたしはそっと呟いた。
教室を出て歩き出したその時、後ろから声をかけられた。
「美咲ちゃん。まだ残ってたの?」
ニッコリとわたしに笑顔を向けたその人は、斎藤くんだった。
「……久しぶり」
少し照れ臭そうに、斎藤くんが笑った。
「斎藤くん……」
少し気まずい空気の中、わたしも斎藤くんに言った。
「わたしは……部活だったんだ。斎藤くんも部活……?」
「ん、オレは委員会」
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