色つきリップ〜紅い唇〜
「美咲ちゃん。よければこれからも『友達』でいてくれる?」
「あ、うん。こちらこそ」
斎藤くんが右手を出した。
「握手。オレたちの『友情』に……」
「……うん」
斎藤くんの右手に、わたしの右手を合わせた。
「……ちっちゃい手だね」
そう言って微笑んだ斎藤くんの右手に、少し力がこもったような気持ちがした。
「もう、『好きだ』なんて言って美咲ちゃんを困らせたりしないから……幸せになってくれよな」
わたしを優しく見つめる瞳が揺れる。
そっと離れる右手が少し、切なかった。
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