色つきリップ〜紅い唇〜
 


大野と手を重ねて二人
いつもの日常へ歩き出す


俯いたままのわたしの手を
導くように大野が引いた


踏み出す足は
昨日より軽い


ふわりと飛ぶように
一歩を踏み出した




「あ、大野ちょっと待って」


お手洗いの前を通り掛かった時、わたしは大野に声をかけた。


そういえばさっき、リップクリームの色を落とそうと思って廊下に出たことを思い出す。


そして斎藤くんに会って……そのまま落とせずにいた唇の色。


「どうした?」



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