色つきリップ〜紅い唇〜
 


「まだ……」


そう言って、わたしは大野の唇に視線を移す。


「……落ちねぇモンなんだな、それ何、口紅?」


「リップクリーム……色付きの」


「……ふーん」


照れて目を伏せる大野の顔をまた見つめた。


大好きな男の人。


目も鼻も唇も……


言葉を発するたびにかかる息使いも……


何もかもが愛しくて


胸がキュウッとなる。


大切な大切な存在に触れる


こんなにも近い


『幸せ』


そう感じた瞬間


「大好き……」


そう言って大野の唇に自分の唇を重ねた



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