色つきリップ〜紅い唇〜
 


「ゴメン、またつけちゃったかも……」


驚いてわたしを見た大野から慌てて離れながら、


「お手洗いで洗ったほうがいいよ?」


すぐ側にあるお手洗いを指差して、わたしは言った。




もう


恥ずかしくて


恥ずかしくて


信じられない


自分が


信じられない


自分からキスするなんて


「ご、ごめん……なんか……」


顔が熱い


唇が熱い


大野の顔が見られない


「わたしも……ちょっと、お手洗い」


そう言った後、わたしは女子用のお手洗いに飛び込んだ。




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