色つきリップ〜紅い唇〜
 


ディフェンスもパスをカットしようとマークにつく。

その時、


「一本!!」


大野が人差し指を上げて、ゆっくりとドリブルを始めた。


「一本!!決めてこ!」


わたしは泣きながら叫んでいた。


負けそうだから?


ううん


ただ、嬉しくて


去年、わたしの好きになった大野がそこにいたような気がしたから……。


マンツーマンのディフェンスを大野はフェイントで抜き、サイドへパスを流す。


そのままゴール下へ走り込み、サイドから受けたパスをそのままシュートした。


「やったぁ!!」


「ナイスシュート!!」


桃ちゃんと抱き合って喜んだ。


笛の音が前半終了を告げる。





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