色つきリップ〜紅い唇〜
 


後半開始の笛の音。


あと15分


あと15分で終わってしまう……


引っ込めたはずの涙が思わず溢れそうになる。


「持ってて」


わたしの顔に飛んで来たのは、大野のスポーツタオル。


スポーツタオルを顔から少しずらして、わたしはコートに向かう大野を見た。


目が合った大野が見せた、いつものVサイン。


「……頑張って!」


大野のタオルで口元を押さえながら、涙いっぱいの瞳でわたしもVサインを返した。


大野の笑顔が霞んで見える。






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