色つきリップ〜紅い唇〜
 


結局試合に負けてしまって。


この試合で引退する先輩達と


悔し涙を流す部員に


冗談を言いながら、盛り上げていた大野。


でも


みんなが着替えている時、一人体育館の裏で俯いていたんだよね。


わたしがそっと近づいて


黙って隣に腰掛けると


「……慰めろよ」


大野の


弱音を聞くのは初めてだった。


わたしの肩に顔をつけて


あの時


大野、少し泣いた?


わたしは


慰めること


出来たのかな?



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