色つきリップ〜紅い唇〜
ピンク
 


「お前、何やってんの?」


部室のドアが開いて、その声に顔を向けると大野が立っていた。


「終わったのかよ」


わたしに近付く大野。


「あ、うん。去年のスコアブック見てた」


「去年の?
……ああ、第1東中とのスコアか?」


「うん」


わたしの手からスコアブックを受け取り、パラパラとページをめくる大野。


「懐かしいな」


「……うん」


優しい風が吹いた。


沈んでいく夕陽に、切なくなる。


「ねぇ……大野?」


わたしは大野に声をかけた。




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