色つきリップ〜紅い唇〜
不意に訪れた沈黙に、ドキドキしてしまうのはいつものこと。
でも、
「お前のヤル気ない姿が見えねえと、オレのヤル気のなさが目立っちゃうんだよ」
すぐに冗談を言って大野は笑わせてくれるんだ。
「もう……受験も始まるからバスケット部もそろそろ引退だね」
「……まあな」
男子バスケット部のキャプテンである大野と、マネージャーのわたし。
来月の公式試合が終わり次第、わたしたち3年生はそのまま引退する。
実際マネージャーの仕事なんて、笛吹きやボール拾い、部室の片づけや練習後のお茶出しくらいのもので、もう後輩マネージャーの女の子たちで十分事足りる。
それに……。
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