色つきリップ〜紅い唇〜
 

不意に訪れた沈黙に、ドキドキしてしまうのはいつものこと。


でも、


「お前のヤル気ない姿が見えねえと、オレのヤル気のなさが目立っちゃうんだよ」


すぐに冗談を言って大野は笑わせてくれるんだ。


「もう……受験も始まるからバスケット部もそろそろ引退だね」


「……まあな」


男子バスケット部のキャプテンである大野と、マネージャーのわたし。


来月の公式試合が終わり次第、わたしたち3年生はそのまま引退する。


実際マネージャーの仕事なんて、笛吹きやボール拾い、部室の片づけや練習後のお茶出しくらいのもので、もう後輩マネージャーの女の子たちで十分事足りる。


それに……。





< 4 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop