色つきリップ〜紅い唇〜
 


「……触るなよ」


低い低い大野の声


「大野……?」


行き場を無くしたわたしの手が、さ迷う。


「お前、軽々しく男に触ってんじゃねえよ」


「え?」


「怖いんだろ?」


「大野?」


「お前は、全然わかってねえよ。オレだって男なんだぞ?」


「……」


「あんなに泣いて、震えるほど怖いんだろ?だったら……そんなに簡単に男に触るなよ」


「でも、今まで……」


「さっきお前が言ったろ?
変わったんだよ、オレも……お前も」




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