色つきリップ〜紅い唇〜
「悪い……オレ、今日ちょっとヘンだ。って、いつもヘンだけど」
「……うん、いつもヘンだよ?」
「よかった、じゃあ安心……って、お前、違うだろ!」
咄嗟に『冗談』にして笑い合うわたし達はまるで子供のようで
いつものように
文句言いながら
わたしの頭をくしゃくしゃにする大野のぎこちない腕は
とても逞しくて
もう一度
『その腕の中に包まれたい』と心のどこかで願うわたしは
もう
子供じゃない
・