色つきリップ〜紅い唇〜
カバンを持って、大野を見た。
さっきからずっと大野はわたしを見ない。
「バイバイ、大野……」
大野の背中に静かに呟いて、そのまま部室のドアを開けた。
その時、
大野がわたしの腕を掴み、慌てて部室のドアをピシャリと閉めた。
「バカ、ボタン閉めてけ!」
「え?」
怒ったような大野の声に、わたしは言われるがままブラウスのボタンを見た。
上から3ツほど開いたブラウス。
さっき大野に下げられたブラジャーの肩ひもは、もはや胸を隠す役割すら果たしていなくて……。
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