色つきリップ〜紅い唇〜
 


「きゃあああああッ!!」


自分のあらわになった胸を見て、思わず悲鳴を上げた。


「バ……!!おま、静かにしろよ」


慌てる大野を睨みながら、わたしは急いでブラウスのボタンを閉めた。


「……何も見てねえ。
何もなかったから……安心しろ」


嘘つき!


見たくせに


触ったくせに


キス……
したくせに


大野がわたしを
こんな風にしたくせに


『何もなかった』なんて
そんなこと出来るはずもない


「……大野なんて大キライ!」


わたしはそう言って、部室を飛び出した。





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