色つきリップ〜紅い唇〜
「ママ、ごめんね、我が儘言って」
帰り道、ママから渡された色つきリップを握りしめながら
ママの言うことも聞かず、さっき『これが欲しい』と言った自分。
なんだか悪いことをしといるようで、ママに謝った。
「ママ嬉しかったな」
「え?」
「美咲が甘えてくれて、嬉しかった」
そう言って、わたしの頭を子供のように撫でてくれた。
「なんでその色がよかったの?」
ママがわたしの顔を覗き込む。
「わたし……わたし、変わりたかったの」
「そう」
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