ライナーアンドザ・スカイ
作業を開始して三十分ほど。
空の色が僅かに変わり始めた。
ちょっとは涼しくなった気もするけれど。
しゃがんでいるせいかまだまだ暑い。
暑苦しいパーマをかけた成瀬は、そんな中でも爽やかで
「あちー」
そう言う姿さえ生き生きして見えるよ。
俺は立ち上がって軍手を外した。
汗ばんだ手に微かな風が気持ちいい。
「飲みもん買ってくる」
「おー」
背を向けたまま応えた成瀬を置いて、校舎内の自販機コーナーへ。
紙パックの緑茶を買って、ついでにいちごオレを買おうと自販機にお金を入れた。
もちろん、成瀬のためのいちごオレだ。
しかしいちごオレは売り切れだった。ボタンを押そうとしてから気が付いて、小さく溜息。
成瀬って他に何が好きだっけ。
少しの間考えたけれど結局思いつかなくて、お金を戻し裏庭へ向かった。