ライナーアンドザ・スカイ


この角を曲がれば裏庭。
というところで足を止めた。


「緑茶が好きって渋いよね」

「あいつんちって、雰囲気『和』っていうか、家で浴衣みたいなの着てたりもして……」


……。

来てるみたい。


二人の会話が聞こえない場所まで引き返して、壁を背に腰を下ろした。


会長が来ている間、俺はほとんど口をきかない。

意識して成瀬に気を遣っているつもりはないのだけれど。


屋上でだって必要以上の言葉は交わさない。

まあ、何も言わなくても会長には見通されてる気もするしね。


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