ライナーアンドザ・スカイ


クレマツ先生は思い出したように保険証と診察券を俺に出させると、それらを持って出て行った。


本当に縫わないんだ……


……自然治癒力があるんだもんね。

遅いか早いかの違いだけだもんね。

そう自分に言い聞かせるよ。


その後看護師さんの手当を受けたが、終わってもクレマツ先生と担任はまだ戻らない。


「さっき僕と一緒に居た人、どこに行ったかわかりますか」


わからないと思うけど、一応看護士さんに訊ねてみる。


「あなた、広田さんのご親族の方?」

なんだ、名前知ってるのか。

「え……多分」

あれ、違うかな?

親族と親戚って違ったっけ。


「なら、入院病棟の三階にいると思いますよ」

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