ライナーアンドザ・スカイ
寝てる間に妹の髪を切るなんて……
俺が妹にそんなことしたとしたら……
考えるだけで恐ろしい。
でも、それよりも気になるのは
「副会長って」
言葉に詰まった。
何て聞けばいい?
そもそも俺は何が知りたいんだろう。
「副会長?」
そう聞き返した会長は、髪型こそ違えど、いつものようにフェンスに寄りかかって足を放り出し座っている。
その手にある煙草を見てハッとした。
「煙草、見られて平気なんですか?」
「それにここ立ち入り禁止……」
それに。
もう一つ浮かんだけれど、それを訊ねるのは躊躇われた。
「あいつには去年、ここで煙草吸ってんの見られた」
険しい顔つきになって言った。
ふと思った。
屋上でこういう顔、あまり見ない。
ここで会う会長は、ここ以外で会うよりずっと大人しい、というか……
穏やか?
「で、脅されて生徒会長に立候補させられた」
……
そんな経緯があったのか。
それにしてもこのひとを脅すなんて、すごい。