ライナーアンドザ・スカイ


急に息苦しくなった。


すべての神経が何処か一点に集まっている、そんな感覚に襲われた。

からだの芯がぐらついて、もう少し強い風が吹いたら倒れてしまいそう。


「今までご苦労さん。

裏庭の方は引き続き頼むよ」


そう言って、鬱陶しそうに大きな目を一瞬だけ細めた。

同時に俺も細めた。

砂埃か何かが、風に舞い上げられたのだ。


そして紫煙がその風に掻き消される瞬間。

それが鮮やかな色を持ったように見えた。



「でも怪我は勘弁してくれよ。

お陰で広田先生に呼び出されたんだから」

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