ライナーアンドザ・スカイ


チェリーブラウンの重いボブ。

この辺りでは可愛いと有名なセーラー服。

肩にかけているジャラジャラと飾り付けられたスクールバッグ。


近寄って確認するとやっぱり……


「優香ちゃんっ」


振り返ってふんわり笑ったのは、間違いなく成瀬の元カノの優香ちゃんだ。


「秋山くん!久しぶりだね」


正門へ向かっていた優香ちゃんは、俺を見て嬉しそうに駆け寄ってきた。


「どうしたのこんなとこで」

「ねえ、そっちに入ったらまずいかな?」

「え?うーん、どうかな……」


突然どうしたんだろう。
成瀬に用事かな……?


「よーし!ちょっとあっち向いてて」


そう言って校舎を指差した。


「ええ?」

「はーやーくっ」


仕方なくフェンスに背を向けた。

相変わらず元気だなあ……


ガシャンガシャンという音がいくつかして、トンッと俺の横に優香ちゃんが現れた。

二メートルのフェンスを越えたのだ。


「危ないよ……」


今更だけど。


優香ちゃんは少し恥ずかしそうに笑った。

< 142 / 220 >

この作品をシェア

pagetop