ライナーアンドザ・スカイ
チェリーブラウンの重いボブ。
この辺りでは可愛いと有名なセーラー服。
肩にかけているジャラジャラと飾り付けられたスクールバッグ。
近寄って確認するとやっぱり……
「優香ちゃんっ」
振り返ってふんわり笑ったのは、間違いなく成瀬の元カノの優香ちゃんだ。
「秋山くん!久しぶりだね」
正門へ向かっていた優香ちゃんは、俺を見て嬉しそうに駆け寄ってきた。
「どうしたのこんなとこで」
「ねえ、そっちに入ったらまずいかな?」
「え?うーん、どうかな……」
突然どうしたんだろう。
成瀬に用事かな……?
「よーし!ちょっとあっち向いてて」
そう言って校舎を指差した。
「ええ?」
「はーやーくっ」
仕方なくフェンスに背を向けた。
相変わらず元気だなあ……
ガシャンガシャンという音がいくつかして、トンッと俺の横に優香ちゃんが現れた。
二メートルのフェンスを越えたのだ。
「危ないよ……」
今更だけど。
優香ちゃんは少し恥ずかしそうに笑った。