ライナーアンドザ・スカイ
さようなら
夜。
コンコン
「姉さんピア……」
ボスンッ
「返事するまで開けないでくれる?
常識よこれ!」
クッションが顔に飛んできた。
「……ごめん」
おっしゃる通りです、姉上。
でもここ、本来リビングなんだけどな。
自分の部屋が散らかる度、ここを占領するのはやめてほしい。
「で、なによ」
「ピアス返すよ。ありがとう」
会長曰く、高級ブランドの黒いピアスを姉の手のひらに乗せた。
「いいの?何かつけてないとまた閉じちゃうかもよ?」
「いや、閉じようかなって」
これでいい。
傷が癒えないのは、自分のせいだった。
「ふうん……。その方がいいかも。あんたアレルギー起してるよ。耳赤い」