ライナーアンドザ・スカイ
アレルギー。
俺って馬鹿だ。成瀬よりずっとずっと。
鎌でつけたあの傷だって。
痕こそ残ってはいるけれど、もう治ったのに。
『別れたくない』
そう言ってあのこがその腕につけたのは、ほんのかすり傷の様なもの。
もしかしたら痕さえ残っていないかも知れない。
俺達には、自分で傷を癒す力があるんだから。
『自分が悪い』
そうだ。
断ち切れなかったのは思い出のせいじゃない。
俺は今はもうない愛の形に、自分の不誠実を見ていたんだ。
悪いのは、その傷にひたすら塩を塗り続けた自分だった。
アレルギーが出ちゃうくらいにね。