ライナーアンドザ・スカイ
朝。
俺はある決心をして家を出た。
いつもと同じ時間に出て、いつもと同じ速さで歩く。
そしていつもと同じタイミングで肩を叩かれた。
「よっ」
「はよ。昨日あの後大丈夫だった?」
「ああ、最後には『あたし諦めない』って抱きつかれちまったよ。
まったく、俺の何がそんなにいいんだか」
成瀬は嬉しそうに笑った。
「ほんとだな」
「お、言うねぇ」
やっぱり嬉しそう。
まあ、そこまで好かれて嫌なやつもそんなにいないか。
ひんやりとした朝の空気に、雀の鳴き声が響く。
こんな澄んだ雰囲気の中、話したいことでもないけれど……
「俺、今日告白しようと思う」
「は!?誰に?つーか好きなやついたのかよ!」
寝耳に水、か。
気付かれてはいなかったらしい。
「おまえと同じひと」
「青木ちゃん!?おま……」
「違うよ!つーかやっぱり青木さんだったのか、もう一人って」
ここで青木さんを想像するのか。
会長より青木さんに気持ちが向かってるって思っていいのかな。
もう決心はしたけれど。
だけど、出来ればそうであって欲しい。
「何だ……じゃあ会長?」
「そう」
「へぇー……いつから?」
「わかんね」
ふーん、と口をへの字にして成瀬は顔をしかめた。
返ってくる言葉が、この朝に相応しいものでありますように。
「まあ、」
「健闘を祈るわ」
成瀬はニッと笑った。