ライナーアンドザ・スカイ
いつもの場所に会長の姿はなかった。
でも……かすかに煙たい。
ドアを閉めてとりあえず屋上を一周してみたけれど、最初の場所が一番煙たい。
と、なると……
入ってきたドアの横に備え付けのはしごを見つけた。
剥がれたペンキが手につくのを感じながら上ると
「何か用?」
やっぱり。
「ちょっと人生相談を」
会長は大の字で仰向けになっていた。
いつもは空を隠すフェンスがここにはない。
空だけが会長を囲う。
「……煙草かえました?」
「さあ、どうだろ」
「え」
「味なんかわかんねえし」
「そんなならいっそ止めたらどうですか。
体に悪いですよ」
「まだ止めない」
……言ってることがよくわからない。
「面倒じゃなければ聴いてやる」
会長は眠たそうに目を瞑った。