ライナーアンドザ・スカイ
「……で?」
「ここまでで一旦ご意見を伺いたいな、と」
横目で表情を盗み見ると、まるで雲みたいにふわふわしていた。
やっぱり眠いみたい。
タイミング悪いなー俺。
「その女、計算高いな。
指輪よりピアスってあたりがもう……」
あれ、結構どうでもいいところに食いつかれた。
もうちょっと、俺の心の傷的なところに触れてほしいのに。
でも、計算高いって?
「あんたはその女の罠にはまったわけだ」
「罠?」
「指輪なんて外して捨てたらそれまでだろ。でもピアスは違う。その女はあんたの体そのものに穴開けたんだから」
そう言われると、凄いことのような気がしてきた。
「ほっときゃ塞がるが、あんたはくそ真面目につけ続けてた。それを止めたって痕は一生残るかもしれないし」
く、くそ真面目って。
……否めない。
でも。
「それって、計算だったんですかね?」
「知らない」
あ、あれ……
「でも、本当に脅すつもりなら手じゃなく首だろ」
なるほど、確かに。
「いろいろ計算してたんじゃねーの。
で、まんまとあんたにとっての『忘れられない女』になったわけだ」