ライナーアンドザ・スカイ
さて、ここからが本題だ。
俺は過去に浸っていたいわけじゃない。
「先輩」
「……」
「先輩?」
まさか、寝ちゃった?
恐る恐るその顔を覗き込むと
「寝てる……」
小さく寝息を立てていた。
流石に寝ているといつもの迫力もない。
ただの無防備な女の子だ。
……せっかく気合い入れて決心してきたのに。
だからと言って、起こす気にもなれないけれど。
風が髪の流れを変えていく。
ふと、触れたい衝動に駆られた。
怒られるかな。
でも、散々触ってきたし……
手を伸ばそうとして気付いた。
会長、手に煙草持ったままだ。
危ない、そう思ってその細い体を上半身で跨いだ。
片手をついて、髪に触れるつもりだった手で煙草を取り上げる。
途端、会長の顔が悲しげに歪んだ。