ライナーアンドザ・スカイ
「メール?」
成瀬は妙に真面目な顔をして、俺を部室に招き入れた。
部室には成瀬のほかにもう一人、二年生の女子がいる。
俺はケータイを取り出すと、訊ねた。
「何か送ったの?」
成瀬は何も言わなかったけれど、俺は特別気にすることもなくメールを開いた。
『会長って男性不信らしいぜ』
男性不信……?
訝しげに成瀬を見た。
「らしい」
成瀬は深刻そうな顔に、どこか楽しさをにじませていた。
「嘘っぽいなあ」
それらしいところを見たことがないし。
俺は成瀬の表情に、周囲が会長の噂に向ける好奇と同じものを感じていた。
「それより文化祭のことで……」
「先輩、さっきの話こいつにしてやってくれません?」
俺の言葉を遮った成瀬の声に反応し、その先輩が俺を見て言った。
「いいけど、広めないでよ?」