ライナーアンドザ・スカイ
取り上げた人
その日から俺は、会長と副会長の前では会長を名前で、それも「ちゃん」をつけて呼び続けた。
敬語はたまに使ってしまうけれど、
「ヒナちゃん」だけは徹底した。
「秋山くん面白いね。
まさかあいつを陽南ちゃ……ぷっ」
生徒会室で二人だけになると副は必ずこの話題を出し、ひとりで笑っている。
「……」
「無視しないでよ。気のせいかなあ。
前より僕に冷たくない?」
俺は正直に答える。
「気のせいじゃないですね」
「あ、やっぱり。
勘違いしないでほしいなあ。
僕あいつのこと好きでもなんでもないのに」
あんたは違っても、会長の方は好きかもしれないだろ。
俺はこの日三十七冊目の漫画をチェックし終えると、立ちあがった。
「一旦漫喫に置いてきます」
「あ、ねぇ。
日曜日僕の代わりに行ってよ」
「は?」
「僕面倒だし。
私服の陽南ちゃん見られるかもよ?」
この男の代わりなんて、引き受けたくない。
けど……